8月2・3日、滋賀県野洲市に税金等滞納者への対応状況、京都府八幡市に学校給食に関する視察に行ってきました。
近年、税金滞納者に対し、一括納付を迫る、預金の差し押さえなど、自治体による地方税の厳しい徴収が強まっています。そんな中、滋賀県野洲市では、税金や保険料などの滞納者に対し「ようこそ滞納していただきました条例(債権管理条例)」という、すごい名前の条例を定め、滞納は生活困窮者のシグナルと捉え、自治体あげて生活再建の手助けをしています。
「税金を納めてもらう以前に市民の生活が健全でなければならない。市民の生活を壊してまで滞納整理をするのは本末転倒だ。生活を崩さず納付してもらうのが原理原則。自立支援を優先することは、理想論過ぎる。公務員がそこまでやってよいのかという声もある。しかし目の前の一人を救えなければ問題は解決しない」と市長は条例制定への想いを語っています。
条例では「著しい市民生活相談課を設置し生活困窮状態で徴収の見込みがないと市長が認めた場合は徴収金を取り立てず放棄できること」と定めています。住民税や固定資産税、国民健康保険料の他、給食費などによって生じる滞納債権を債権管理室が一元的に管理。生活相談課と連携し滞納を解決するだけでなく、困窮状態から抜け出し生活再建を支援する仕組みを作りました。
生活相談課では、相談者からの話を聞き生活再建のプランを立て「支援調整会議」を毎月開きプラン内容を検討。就労支援をハローワークとも連携し市役所内に常駐する就職支援ナビゲーターが就労相談に乗っています。
よくたとえられる自転車操業の様な綱渡りの生活の中からやむを得ず納められなかった税金などは、滞納者の理由は様々ですが、なぜ滞納に至ったのかを把握し、生活再建に導くことが今後の納税に結び付くという考え。 税金をちゃんと納めても生活できるよう支える生活再建を役所全体が連携して、思いを皆で共有する取り組みでした。
滞納徴収率の向上を考えるだけでなく、根本からの仕組みを考え、変えることにより、今後の税の収納率の向上に結びつくのではないでしょうか。