窪田議員(日本共産党)が、細川慎一議員の議員資格を問う「資格決定要求書」を提出し、議会運営委員会で明日(3月30日)午後の本会議で、「細川慎一議員の覚醒剤所持・使用等に関する特別委員会」に付託されることが決まりました。
公職選挙法10条1項5号、9条2項によれば、「引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有すること」が市町村議会議員の立候補の要件の一つとされています。
これは、市町村議会議員は、地域住民の代表として、地元の実状をよく知り、地域に密着した政治を行ってもらわなければならない、という考えに基づいています。
また、地方自治法は第127条1項で「普通地方公共団体の議会の議員が被選挙権を有しない者であるとき……は、その職を失う。」そして「議会がこれを決定する。この場合においては、出席議員の三分の二以上の多数によりこれを決定しなければならない。」として、現職の市町村会議員の被選挙権の有無については議会が決定することになっています。
最高裁判例でも「その者がいったん議員としての身分を取得した後においては、右の者の被選挙権の有無については、議員の失職について定める地方自治法127条により、議会がこれを決定すべきことになる。」としています。
現職市町村議員の被選挙権の要素の一つに「区域内の住所」があり、最高裁判例では「市町村議員は市町村の区域内に住所を有しなくなったときは、その職を失う」となっています。
「区域内の住所」は住民票が置いてあればいいのか。
これも、最高裁判例では、「住所とは、生活の本拠、すなわち、その者の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を指すものであり、一定の場所がある者の住所であるか否かは、客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かにより決すべきものと解するのが相当である」としています。
今回、細川慎一議員は2月16日に逮捕勾留され、2月29日には住所として届け出ている葉山町堀内1448-1の住居は引き払われ、3月15日には、その住居としていたテラスハウスは入居者募集の広告が出され、葉山町内での生活根拠がなくなっていました。
その後、細川慎一議員は覚醒剤所持で起訴され、3月10日に保釈されましたが、以後、本日まで葉山町町内に細川慎一議員の生活実態は確認されていませんでした。
まず、3月15日には、住民基本台帳法第23条の「転居をした日から14日以内に、……市町村長に届け出なければならない。」に違反しています。これは法律を遵守しなければならない議員としてあってはならないことです。
そして、3月24日に覚せい剤使用で追起訴され、その際のマスコミ報道で、細川慎一議員の住居が「横浜市泉区」と明らかになりました。これは、保釈申請の際に裁判所で許可された制限住居であろうと思われますが、生活実態を横浜市泉区に置いたことになります。
公職選挙法で言う「市町村の区域内に住所を有すること」は、住所の届出をしていればいいだけでなく、生活実態が求められます。
生活実態とは、判例では「選挙の場合には,民法上の住所要件,いわゆる生活の本拠地と定義づけされているような状況で,実際に生活をしているところであり,判断基準は,まず1番目に起居,寝起きする場所,2番目に家族の同居の事実等,夫婦,親子関係,家計の問題,3番目に事業所,勤務関係,所得関係。4番目として資産の所在,納税関係,戸籍関係,5番目に社交儀礼,生活関連というようなことで,その事実を見きわめ総合的に判断すべきものである」ということです。
細川慎一議員にあてはめると、3月10日以降、住民票の移動を行っていなくても、葉山町堀内1448-1に居住できる条件が無く、生活実態を横浜市泉区に移転したことになります。
保釈の指定条件として、制限住居が定められますが、保釈後は、被告人は、指定された制限住居に住まなくてはなりません。今まで生活していた自宅が指定されることが多いですが、監督者がいる親元の実家が指定されることもあります。
つまり、保釈申請の際に、町議会議員を続ける意思があれば、あらゆる方策を駆使しても、葉山町内に身元引受人を探し、葉山町内に制限住居を申請すべきであるにも拘らず、細川慎一議員は、横浜市泉区を制限住居としました。
仮に、今後、葉山町内に制限住居を移転しても、なぜ、3月10日の保釈時から、葉山町内を制限住居としなかったのか。町議会議員として住民のために働き続けたいと思うのなら、あくまでも保釈時に制限住居を葉山町内に指定されるようにこだわるべきでした。
以上のことから、細川慎一議員は3月1日に、実質「住所不定」となり、3月10日の保釈時に横浜市泉区へ生活の根拠となる住居を移したと認められ、細川慎一議員は、3月10日に議員たる被選挙権を失っています。
今後は、「特別委員会」で調査を進め、本人の弁明の機会を与え、4月7日に予定している本会議で出席議員の3分の2の賛成で「資格を有しない」となれば、細川慎一議員は失職することになります。